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保育業界でご活躍の先生のコラムを毎月1回更新中☆ 平成25年度コラム 田倉輝子先生
            
2月 「子どもの発達の順序性の中に潜む飛躍性」
子どもの発達の順序性の中に潜む飛躍性

1、0歳児のY男の事例を考える

8ヶ月で入園したY男は、当初から
「母を求めてなく」「保育士に甘える」「泣いて要求する」「ふれあいを喜ぶ」
といったことがありませんでした。

遊びの面では、偶然触れたおもちゃを握ったり口に入れたりしますが、少し離れたところのおもちゃは、手を伸ばして届かないとすぐにあきらめ、欲しがる様子が見られませんでした。お座りをするのですが、支えがないと不安定で倒れやすく、自分の体を支える筋力の弱さも気になる子でした。

0歳児検診で嘱託医に運動機能面を相談すると、
「腹筋、背筋、腕や足の筋力が弱い」と指摘されました。
嘱託医のアドバイスを受け、日中数回腹這いで過ごすことを意識して行わせるようにしていきました。
フローリングの上で、なるべく足で蹴って進むように働きかけをしていきました。
そのためか、手のひらに力が入り、おもちゃに手が出せるようになっていきます。

一番気になったのは、Y男の要求の弱さでした。
意識的に担当保育士が関わり、眠そうな時におんぶや抱っこ、トントンで寝かしつけるようにするのですが、保育士に触れて欲しくないとばかりに泣きぐずってしまうのです。
安心して眠れるのは、ベッドに寝ながらバスタオルが口元に触れた状態の時なのです。

つまり、愛着関係がうまく持てないのです。
母親は、9ヶ月検診の時に、「体の発達が少し遅れているようです」と言われて心配はしたようなのですが、「でも動くと大変だから、動かない方が楽なんです。」と答えたようなのです。
保育士が10ヶ月の時に、「つかまり立ちが少しできるようになったんですよ!」と伝えても、「そうですか」と言うだけで、会話が成立する様子が見られなかったのです。

子どもというのは不思議なもので、そうした親の意識を反映した行動をとることがあるのです。
動き回られると変な表情をされれば、子どもは動かないようになってしまいます。
子どもの中に「動き回りたい」という内発的要求があったとして、「すごいね!」「たいしたものだね!」という親やまわりの大人からの外発的働きかけがなければ、子どもの成長スピードは落ちてしまうのです。

2、「ハイハイ」をとびこえて「つかまり立ち」へ 
10ヶ月目になった時に、あまり変化しないY男の姿を見て、保育士は「ハイハイ」が十分できない段階だったのですが、思い切って「つかまり立ち」へ移行させてみたのです。

最初はうまくいかなかったのですが、徐々に「つかまり立ち」をするようになっていくのです。
柵につかまりながら、周りを見たり、メロディーボードを触って遊ぶようになっていきます。
Y男が立った時には、「すごいね~」とほめてあげたり、腹這いになっておもちゃを取ろうとする意識まで出てくるようになっていくのです。また、立たせたことで視野が広がり、嬉しそうに笑うようになっていきました。

3、母親の反応が変わる!
体が動くようになり、感情が出てきたY男。
お迎えの時に、母の顔を見て笑うようになり、母親もそれに合わせて声がけをするようになりました。
母親がY男に顔を近づけると声をあげて笑うので、何度もやってあげるようにもなり、
「子どもって繰り返しがすきなんですね」といった子どもへの発見の言葉が聞こえるようになりました。

少し前の母親には、考えられなかったような反応です。一見無関心な母親でしたが、
実は「どのように子どもと接していいのか?」「どのようなことが子どもが喜ぶのか?」「どうすれば、子どもが発達するのか?」などの具体的な手立てがわからなかったのではないでしょうか。
私たちは、無関心に見える母親であっても、具体的な手立てがわかれば変化・成長していくことにもっと信頼を寄せてもいいのではないでしょうか。

4、発達の順序性の中に潜む飛躍性
Y男は、つかまり立ちができるようになっていくことで、成長していきます。
子どもの発達は、基本的には、「ハイハイを十分してからつかまり立ちへ」といった順序性があります。
しかし、時にはその順序や順番をポーンと跳び越える場合があるのです。
そして、その跳び越えた場所から発達したあと、そのまま次の発達に行くこともあれば、
その跳び越えた発達をやり直す場合があるのです。

人間の発達というのは、それほど柔軟性に富んでいると同時に、個別性を持っているものなのです。そのことを大事にすることが、「子どもの発達を見る」ということなのではないでしょうか。


平成23年度コラム 増田修治先生 目次
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2月 「子どもの発達の順序性の中に潜む飛躍性」_e0173417_17273825.jpg
増田 修治 先生
(ますだ しゅうじ 先生)
 
白梅学園大学子ども学部子ども学科准教授。
小学校教諭、埼玉大学非常勤講師をご経験。
2001年に「児童詩教育賞」受賞。
こどもたちに「ユーモア詩」を書かせるなど、子育てに関
しての講演、著書出版などでご活躍され、NHK「にんげん
ドキュメント」、テレビ朝日「徹子の部屋」でも紹介されまし
た。
著書には『子どもが育つ言葉かけ』『笑って伸ばす子ども
の力』 『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』『子ども
が育つ言葉かけ』 『笑う子育て実例集』など。



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by g-asuka | 2012-02-01 18:00 | H23年度(増田修治先生)


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